ラーガ・ディーパク (ディパク) Raga Dipak (Deepak)
インド音楽のラーガの中で、このラーガは特殊です。
なにが特殊かというと、
演奏をしてはいけないラーガ
なのです。
いくつかのラーガには、呪術的(というのが正しいかどうかわかりませんが)な力があると考えられています。
「ディパク」の意味は「光」です。
ラーガ・ディパクは、炎と関連付けられて考えられています。
伝説では、
偉大な音楽家のミヤン・タンセンが王に呼ばれこのラーガを歌わされた。
ラーガの力で、あちこちに火がつき、命の危険にさらされた。
非常事態を聞かされたミヤン・タンセンの奥さんが来て、雨のラーガ・マルハールを歌い雨を降らせて火を消し、ことなきをえた。
という話があります。
そこまでの自然現象を起こさせるという「伝説」は置いておいて、
ラーガ・デイパクは、本当にあるのか?「演奏してはいけない」ということで、誰もしらないでっち上げのラーガではないか?と疑っていました。
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私が師(アミット・ロイ氏)といたとき、突然、師がChalan一周だけふと歌い始めました。
”S G P S − 以下省略”
師:(一回だけ歌って)「どう思う?」
私:(怖かった)
師:「今の、ディパク」
私:「え?」(今聞いた旋律を歌おうとする)「S G P 」
師:(さえぎって)「歌っちゃダメ。心の中で歌って。このラーガは弾いちゃダメ。このラーガを弾くと、心が焼け付いて死んじゃう」
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家に帰り、文献で調べると、「ラーガ・ディパク」として文献に記載してあるのと同じでした。
ラーガ・ディパクは、本当にあったのです。
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インドでアリ・アクバル・カーン氏のコンサートにいったときのこと。
氏は大変な高齢なので、コンサートがあるたびに「今度が最後のコンサートらしい」という噂が流れます。
演奏の途中、何度かラーガが入れ替わって、突然、
「S SS S G GG G P PP P S - …」
というガットを弾き始めました。かなり、ドッキリとしました。「最後のコンサートだから、禁断のラーガ・ディパクを弾いてしまうのか!?」
でも、
「S SS S G GG G P PP P S - - P G S G - - S」
でした。ラーガ・ディパクではありませんでした。
やりかけて、やっぱりやめたのか。それは、わかりません。
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インド音楽のラーガ
インド音楽
シタール・スルバハール奏者 佐野敏幸 (インド音楽)


